たばこ税をめぐる税収と健康問題のあり方

2012年05月04日

マサノリ元気通信　号外版　　　　　　　　　　　　　　　　健康問題PART２

「たばこ税」をめぐる税収と健康問題の在り方

―財源確保と国民の健康増進の狭間で何が起きているのか―

○ねえ、マサノリさん・・・

「たばこはこれからも値上がるの？」

「値上げは喫煙者にとって迷惑だ！」

「たばこを吸う人の肩身が狭くなってる」

「世の中の流れは完全にﾞ禁煙ﾞよね！」

「受動喫煙って本当に迷惑よね！」など、

現在では、たばこをめくって喫煙者と禁煙者

の間には大きな溝が生じてきています。

国は財源と健康のどちらを取るのでしょうか。

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「財源と健康で、大臣同士が主導権争い？」

小宮山洋子氏が厚生労働大臣就任直後に、「国民の健康を守る」といった理由で１箱７００円と具体的な数字まで上げて「たばこ増税」を明言したのは記憶に新しいところ。しかし、さっそくこれに反応したのが安住淳財務大臣。

「所管は私です」と露骨に不快感を示し、小宮山さんの発言はあくまで個人的な見解と突き放したのです。これに見られるように、たばこ税を巡る財源と健康問題は常に比較をされますが、一方で隠された本質的な問題があることも事実なのです。実は財務省は、JT（日本たばこ産業）の株を５０％も保有していて、年間配当金として３４０億円もの利益を得ているのです。政府がこのように「たばこ会社の大株主」である限り、当然のごとく経営を重視せざるを得なくなり、健康問題は必然的に疎かになるのではないでしょうか。

「たばこの値上げとその税収、そして内訳は？」

そもそも「たばこ税」なるものは、１８７６年（明治９年）１月にたばこ税法が施行されたことが始まりです。その主な理由は「日露戦争の戦費調達」のためであり、当時の大蔵省が専売局を作って専売制を取ったことが始まりです。

近年では、１９９８年（平成１０年）・２００３年（平成１５年）・２００６年（平成１８年）・２０１０年（平成２２年）と、４度の増税が実施されています。特に、２０１０年１０月の増税では、当時の首相であった鳩山氏が「健康目的の為に喫煙者を減らす」と語ったことから、健康のための懲罰税の性格を帯びてくるようになってきました。ちなみに、国の税収は合計で約２兆円。

その内訳は４１０円のたばこを買った場合、国：106.04円(25.9％)・地方：122.04（29.9％）特別税：16.4円（4％）・消費税19.52円（4.8％）で、その６４，５％が税金となっています。これは世界的に見て標準的な数値だそうです。

ところで、２４年度の多摩市のたばこ税の収入見込みですが、「約８億５百万円」を見込んでいます。

「値上げ？健康？たばこ税が与える影響とは」

値上げは非喫煙者にとっては良いニュースですが、禁煙者にとってはかなり迷惑なものでしょう。また、国や地方にとってもたばこ税を上げると喫煙者が減り、税収も少なくなるのも事実。一方、金銭でこの問題を考えるのではなく、人体への影響を考えるべきといった声も徐々に大きくなってきています。また、喫煙者のマナーや青少年に与える影響も無視はできないでしょう。若者のドラッグの入り口が喫煙であるといったデータも示されています。実際にカナダでは、この１０年間でたばこ税が８倍になりましたが、未成年者の喫煙が４０％から１６％に激減。高価なタバコは安易に手が出せないのか、一般の国民のたばこ消費量も３７％も減少したそうです。

「たばこが原因とされている医療費は３兆円」

現在、たばこが原因とされている医療費は３兆円を超えています。これはたばこの税収である２兆円を遥かに超える数字となっています。ちなみに我が国では昭和４０年代の男性の喫煙率は８割を超えていましたが、今は４割を切っています。しかし、欧米の２割前後には程遠い数字となっています。喫煙者の寿命は非喫煙者よりも数年短く、全死因のうち約３割が喫煙が原因。国内でたばこが原因での死亡者数は１０万人を超えています。加えて、日本女性の妊娠時の喫煙率が高く、非喫煙者よりも１．５倍も流産しやすいといったデータも示されています。また、子育て世代に喫煙者が多いことも問題視されています。たばこから立ち上る「副流煙」は、肺の中に入る「主流煙」より１０～１００倍も発がん性物質が多く、子供の身体成長に大きな影響を及ぼしているのです。

「政治は健康社会を目指すべき」

政府（政治）は、たばこ税をめぐる諸問題の中で、国民の健康と医療費が社会保障制度に及ぼす影響をしっかりと検証することが大事ではないでしょうか。　　　　　　　

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